「死者の日」というお祭りをご存じですか?
カラフルな飾り付けに、ドクロの仮装、ド派手なパレード・・・!
「死者」という言葉とは正反対に陽気なこのお祭りですが、映画などの影響もあって、ここ数年認知度がグイグイ上がってきています。
今回は、この「死者の日」についてわかりやすく解説します。
(下へ続く)
Contents
「死者の日(死者祭り)」って?
(出典:007.comより)
「死者の日」とは、ラテンアメリカで行われている、先祖を敬うお祭りのこと。
スペイン語では Día de Muertos(ディア デ ムエルトス)と呼びます。
死者の日に、死者の魂が墓の外へ戻るといわれ、故人が好きだった食べ物や飲み物、おもちゃなどを祭壇に供えます。
日本のお盆と似ていますね。ただ、日本と違っている点は、ラテンアメリカ、特にメキシコの「死者の日」はとてもにぎやかで盛大に祝うので、お盆の雰囲気とはまったく異なります。
※この「死者の日」は、2003年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。
死者の日とハロウィンはどう違うの?
メキシコの死者の日のお祭りでは、仮装をするのでハロウィンと似ていますが、その起源や目的には違いがあるようです。
死者の日
- 【起源】:アステカ文明発祥
- 【目的】:ラテンアメリカの国々で、亡くなった人々を思い出し、敬い祝う
- 【時期】:10月31日~11月2日にかけて行われる
11/1に子どもたちの魂がこの世に戻り、11/2に大人の魂が戻ると言われているようです。
現在では、アステカ文明などのヒスパニックの要素とカトリックの要素が組み合わされたお祭りとなっているのが特徴。
ハロウィーン
- 【起源】:アイルランドの異教徒
- 【目的】:秋の収穫を祝い、怖い仮装をして悪霊を追い払う
- 【時期】:10月31日
元々は宗教的な要素がありましたが、日本でのハロウィンのように商業的なイベントとなり、現在では宗教色は薄れてきています。
【2019年】死者の日はいつ?毎年同じなの?
死者の日は10月31日~11月2日にかけて行われる毎年固定の祝日となっています。
地域によっては11月2日だけのところもあるようです。
ちなみに、スペイン語圏の宗教行事であるセマナサンタは、毎年日付が変わる移動祝日となります。
(参考:2019年セマナサンタ(イースター)はいつ?5分でわかる!セマナサンタ解説。)
死者の日に食べる「死者のパン」ってどんな味?
スペイン語では Pan de muerto(パン デ ムエルト)
(出典:eventbriteより)
死者の日に食べるものの1つに「死者のパン」があり、スペイン語で Pan de muerto(パン デ ムエルト)と呼びます。
このパン、10月に入るとスーパーやパン屋さんで売り出されるのをよく見かけます。
見た目
直径20㎝前後の、かなり大きな丸い形をしたパン。全体的に粉砂糖がかかっています。
そして、表面のボコっと浮き上がっている模様は「骨」を表現しているのだそう。たしかに骨っぽいですね!
味や食感
パンの中身は何も入っていないものが主流で、パン生地はほんのり甘い味付けになっています。
私が食べた「死者のパン」は、日本によくあるような、ふわっとした柔らかいパンではなく、少し固めでボソっとした食感でした。
※ハード系のパンとも違う固さだけど、これはこれで美味しいです。甘いもの好きならいけると思います。
この時期にしか出回っていない季節限定のパンなので、見かけたら是非食べてみてください!
その他の「死者の日」の食べものは?
calaveras de azúcar(カラベラス デ アスーカル)
(出典:info7.mxより)
骸骨の形をした砂糖菓子。
死者の日のための、ofrenda(オフレンダ)という祭壇に供えます。
Tamales(タマレス)
(出典:kraftrecipes.com)
トウモロコシの粉を葉っぱに包んで蒸した食べ物。
具なしのものや、鶏肉をトマトソースで味付した具が入っているタマルもあります。
具入りのほうが断然おいしい。
Fiambre(フィアンブレ)
(出典:mundochapin.com)
また、国によっても死者の日に食べるものは多少変わってくるようです。
メキシコのお隣、グアテマラでは Fiambre(フィアンブレ)という、数種類のサラミやハムを野菜や卵などと一緒に添えて味付けをしたサラダのようなものが有名です。
私が食べたものは、ビネガーベースのドレッシング味でした。それぞれの家庭によってレシピが違うのですが、とても美味しかった思い出があります。
こちらも、10月になるとスーパーなどでよく売られています。
祭壇がマリーゴールドの花で埋め尽くされる理由とは?
(出典:elsemanario.com)
メキシコでは、死者の日の祭壇にマリーゴールド(cempasúchil センパスチル)の花を飾る習慣があります。
古代からマリーゴールドの花びらには太陽の熱を保つ力があると信じられていました。
そして、故人たちが死者の国から現世へ戻る時に迷わないよう、太陽の光を放つマリーゴールドを祭壇に飾り、それを道しるべとしたのが理由と言われています。
骸骨の貴婦人「カトリーナ」って一体誰?
(出典:inside-mexico.com)
カトリーナは、優雅な帽子をかぶった女性の骸骨のイラスト。
風刺画家のホセ・グアダルーペ・ポサーダによって1910–1913年に描かれました。
「メキシコのお土産によくある、ちょっと陽気なドクロ」、くらいにしか思っていなかったのですが、由来を調べてみると、皮肉な歴史の上に生み出された作品だったようです。
ドクロの意味する皮肉な歴史
スペイン人の入植後、先住民たちは征服され、その文化も破壊されていきました。
そんな中で、先住民たちは、自分たちののルーツを恥じるようになったのです。
そして、女性たちは、ヨーロッパの上流階級に適応しようと必死で西洋の服装をマネしたり、白人に近付くべく、浅黒い自分たちの肌を白塗りの厚化粧で隠すようになります。
そんな先住民女性を風刺的に描いたもの、それが「カトリーナ」だったのです。
その後、骸骨の貴婦人カトリーナは、今では死者の日には欠かせない象徴となりました。
※参考:La Calavera Catrina(wikipedia)
「死者の日」を知る、おすすめ映画2本!
「リメンバー・ミー」
「リメンバー・ミー(原題「Coco」)」は、2017年に公開されたピクサーの映画。
テーマは、「死者の日」と「家族」。この映像を見るだけで、メキシコの死者の日の楽しく陽気な雰囲気が伝わってきます。 主人公の少年の夢と死者の国にいる家族。両者が織り成すエピソードは、大人でも泣けます。そして、映像美が素晴らしいです。
「007 スぺクター」
「007 スぺクター(原題:Spectre)」では、冒頭のシーンから、いきなりメキシコの死者の日パレードで始まります。
このロケは、実際にメキシコシティーで大勢のエキストラを使って撮影されたそう。
このド派手なパレードは、今ではメキシコ死者の日の名物となりましたが、実はこの映画でパレードを行ったのをきっかけに、恒例行事となったのだそう!
カラフルなパレードと、007おなじみのアクションシーンの組み合わせは迫力があって、こちらも強くオススメします!
さいごに
近年、注目度が高まっているラテンアメリカの「死者の日」ですが、今回はメキシコの死者祭りについての解説でした。
食べ物の章で少し触れましたが、お隣の国、グアテマラへ行くと、メキシコとはまったく違った雰囲気のお祭りです。
グアテマラで行われる「死者の日」の様子は、こちらの記事をどうぞ!